しだ

灼熱/灼熱の太陽のしだのレビュー・感想・評価

灼熱/灼熱の太陽(2015年製作の映画)
5.0
この作品が日本に上陸した時、映画館に行った。大好きな作品の1つ。
同じ役者がそれぞれ同じ地域、異なる時代の別人を演じるオムニバス形式で、光が織りなすコントラストが大変美しい。
舞台となるのは人種も言葉もほとんど同じにも関わらず多くの民族が入り乱れるユーゴスラヴィア。取り巻く時代は移り変わり、彼らにいつだって纏わりつく禍根は複雑だ。
1話目では、トランペットの音色も銃声も、ままならない世界への怒り、不確定な未来への恐怖を込めた彼らの叫びなのだと思った。
最後の2人は歩み寄る様子を見せ、記憶違いだったら申し訳ないが「物語は続いていく」の言葉で締めくくる。そしてエンドロールでは朝の鳥達の囀りが流れ、彼の地の新しい日が来ることを、それが良きものになる事を願わずにいられない。
また他にも旧ユーゴ地域を扱った作品のオマージュ(ビフォアザレイン、アンダーグラウンド等)を散りばめているように思い、言葉の通り時代を経て未来へ向かっていく演出に心を打たれた。
全体を通して静かな、川の流れのような作品。
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