しまかす

錯乱のしまかすのレビュー・感想・評価

錯乱(2015年製作の映画)
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東京国際映画祭(2015)にて鑑賞。監督は大学で教鞭を振るう歴史学者でもあるという。
舞台はテロリストが人々の日常を脅かすいつかのイスタンブール。主人公は与えられた自由と引き換えに日々廃品回収業者としてゴミを漁り仕掛けられた爆弾を探す。一方、保健所職員として野犬狩りの仕事に就く弟は自宅で野犬を匿うのだが、監督によればこの野犬こそテロリストのメタファーだとか。色の褪せた画面に響くのは耳障りな音ばかり。明日をも知れぬ兄弟の日常はパラノイアに侵食され、次第に現実と虚構が入り交じっていく。
終始流れている不穏な空気に観終わる頃には疲労困憊、なんとも体力のいる映画。兄弟ですら信じられなくなるような理不尽な世界に救いはあるのか。映画から4年、トルコは未だテロとの闘いを続けている。やがて日本にとっても遠い国の話ではなくなるだろう。監督の最新作が今年のベルリン国際映画祭のコンペ部門に出品されたと聞いて、この映画を思い出しました。今年のTIFFで観られるといいのだけど。
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