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正しい日 間違えた日のslvのネタバレレビュー・内容・結末

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ホン・サンスは今まで3作品しか観てなくて、あまり詳しくないのですが。
えーと、これは監督の体験談ですか?
自虐ですか!?
と突っ込まずにはいられない内容。

同じ設定・シチュエーションのストーリーを会話の内容を変えて二つのパターンで見せ、異なった結末を描く二部構成。

だいぶリアル過ぎるような会話劇がとにかく面白くて引き込まれた。

一つ目は『あの時は正しく今は間違い』というタイトルで。

二つ目は『今は正しくあの時は間違い』というタイトルで。

二つ目を見終えたら、もう一度一つ目を見返してその違いを検証したくなっちゃって、思わず2周しちゃったよ。。

時々、「いったい何を見せられているんだ?」という気持ちになりながらも、この独特な雰囲気の会話とやり取りにニヤニヤしたり、ドン引きしたり、居心地の悪さを覚えたり。

これは人によって気になるポイント、共感出来るポイントが様々だと思うのですが、男性目線か女性目線かでも色々と意見が別れそうですね。。

どっちが正しくて、どっちが間違いなのか。

あの時、どうするのが正解だったのか。

監督の意図的にはどちらかが正解、と言いたいところなのか。
それとも、どっちにしたって後悔はあるという示唆なのか。

私的には、まあどっちもどっちだと思うのだけども(笑)

一つ目の『あの時は正しく今は間違い』の方が、リアルに感じてしっくりきたかなぁ、私には。

映画監督のチュンスが理性で格好つけてて、だけどそれが露呈した時のダサさといたたまれなさが絶妙なリアル感で。
キム・ミニ演じる女の子ヒジョンが急にテンション下がってしまう、あの心理にも凄く説得力あって。

ラストも映画の上映会と講演の模様のほろ苦さが、ちょっと切なくて良かったな。


一方、映画監督のチュンスが正直に自分の感情や性格を露呈させていた二つ目のパターンの方は、結末としてはこちらの方が二人の関係性がポジティブな雰囲気ながらも、私的にはいろいろ気になるところが満載すぎた。

特にアトリエでチュンスがヒジョンの絵をけなす(?)シーンは普通にムカついたし、先輩のカフェでのチュンスの突飛な行動にはかなり引いたし、ヒジョンが極寒の中にチュンスを置いてけぼりにするシーンには小悪魔では片付けられないような悪意を感じたし。ちょっとひどいでしょう、あれは(笑)。
どういうつもりだったのかなぁ…?
私には今ひとつこのヒジョンの心情や性格が掴めなかった…。

まぁ、キム・ミニさんは本当にかわいくて魅力的なんですけども。

それにしても、「かわいいかわいい」言い過ぎだよねぇ。(言いたくて仕方なかったんだな…ホン・サンスが)

寿司屋のシーン、チュンスが酔っていい感じになって、下心を丸出しにしながらエロい視線で見つめ続け口説き続ける、あの演技はリアルに酔ってるとしか思えなかったのが凄い。

そして同じく寿司屋で、チュンスが泣き始めたシーンには心からドン引きしてしまい、見ていられなかった…。
けど、いるよねぇ、こういう酒癖悪い奴…と思わせるあるある感。

いろいろと痛いところを絶妙に突いてくるような描写が巧いなぁと思いました。


と、つい長々書いてしまいましたが、ホン・サンスやはり面白いなぁ、好きだなぁと改めて思えた作品でした。
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