回想シーンでご飯3杯いける

オール・シングス・マスト・パスの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
苦手ジャンルであるドキュメンタリー克服作戦、その2。今回は興味がある題材を、という事で、自分もかつて同じ業界にいたレコード販売店の話。アメリカ西海岸発祥の業界最大手、タワーレコードの栄枯盛衰を、主に創始者の半生と重ね合わせながら描いた作品だ。

で、結論から言うと、克服作戦は第2回で大成功。やはり題材に興味があるか否かが大事という事なのだろう(当たり前?)

・店員の服装は自由
・品揃えが何よりも大事
・店員から始めて、実績に応じて幹部へ昇進する人事制度
・仕事に行くのが嫌だと思った事がない
・仕事と夜遊びの往復生活

創始者や幹部が語るタワーレコードの社風。これ、全部僕がいた店と同じだ! 今のCD量販店は良くも悪くもお行儀が良くなっちゃって、特有の刺激みたいな物を感じる事が少なくなってしまったけど、'70~'90年代の業界には本当に活気があって、ミュージシャンやDJの出入りも多く、それはアメリカも日本も同じだったんだと確認できた。元店員としてデイヴ・グロール(ニルヴァーナ,フーファイターズ)が出て来てテンション上がったー!

元業界人としては、アメリカ本国での店舗廃業に関する詳しい背景を知りたかったけれど、そこの切り込み具合はやや弱め(敢えて言及を避けている印象も)。でも、本作のタイトルにもなっているジョージ・ハリスンの音楽をバックに、デイヴ・グロールが熱い思いを語るラストシーンは、日本のタワレコ・ファン必見だと思うよ。