樽の中のディオゲネス

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラードの樽の中のディオゲネスのレビュー・感想・評価

4.0
 「エル・マリアッチ」と「デスペラード」は、話がつながっているようで、つながっていなかったように、本作もまた、「デスペラード」とは無関係ではないけれど、人物設定に違いがあったりします。要するに、エル・マリアッチ三部作は、ギターケースをもったおじさんを主人公にした、異なる内容をもつ作品集なのでしょう。
 本作では、アントニオ・バンデラスをはじめ、チーチ・マリン、マチェーテヘンタイおじさん、サルマ・ハエックなど、ロドリゲス作品の常連が出演していますが、ジョニ・デ氏、ミッキー・ローク、そして、トゥーマイが登場いたします。ロドリゲス氏は、しばしばお金のかかりそうな俳優に演技させていますが、今回はとりわけ大変だったでしょうね。
 本作のストーリーは、ロドリゲス氏のメキシコ愛で満たされています。とくに、ピビルというメキシコ料理がでてきて、それがおいしそうですね。ジョニ・デプ氏の役が、レストランでは必ずピビルとテキーラ・ライムを注文するのです。本作を観ていると、デップがカッコいいから忘れがちですが、彼の役のもうひとつの設定は、レストランのピビルがおいしすぎると(←これは彼の皮肉で、つまりマズすぎると)、そこの料理長を殺してまわる、というものです。ロドリゲス氏はおいしいピビンが食べたい、ということでしょうか。
 足が機関銃とか、股間が拳銃みたいな、アホくさい戦闘グッズも、やっぱり出てきます。ロドリゲス氏の諸々のインタビューを聞くと、彼がかなりまともなことを考えて映画を作っていることが分かるのですが、どうしてこんなにもジョークが低レベルなのでしょうね。ほっこりします。