bluemomday0105

バジュランギおじさんと、小さな迷子のbluemomday0105のレビュー・感想・評価

4.2
インド映画の主役のおじさんは、何故こうもスーパーヒーローなのか…!

愚直さと信心深さが取り柄の男性パワンが、ふと出会ったパキスタン人の喋れない幼女シャヒーダーをお家に帰す旅。
バーフバリほどキメすぎてはない、キアロスタミがボリウッドで撮影したような感じのユーモラスで子供がかわいい映画でした(おじさんの居候先の少年もかわいかった)。でも踊る!めちゃくちゃ踊る!!

勝手に「やさぐれた孤独なおじさんが無垢な少女の世話を焼くことで、心に温かさが宿っていく」感じのストーリーかと思ってたけど、むしろ逆だった! 信心深く嘘がつけない、要領の悪いパワンにやきもきしつつ、周りの人たちがそのまっすぐさにほだされていくという…。
象徴的なのが、途中から加わるパキスタン人の記者のおじさん。無理くり国境を超えたパワンとシャヒーダーを、最初はスクープ狙いでついて回ってたのに、いつの間にか味方になって旅をしてる。そして熱いクライマックス。
今も緊張の続く両国民の心を動かしたのはその愚直さなんだなと…話の筋はわかるし伏線も察せられるのに涙。
そして敬虔なヒンズー教徒のパワンが異教であるイスラム教の助けを借りるようになる過程は、「宗教を信じる心は大切だけど、周りの人を助けることが一番大切」という境地に至ったことでもあり。お互い大切な出会いだったんだなと。

パッドマンも感動の実話なんですが、こちらは殆ど悪い奴や嫌な奴がいない(そして悪い奴はきっちりやり返される!)からストレスが少ないのも良き。小林幸子似のおじさんの彼女と、彼女の弟もよいキャラクターでした。
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