doji

胸騒ぎのシチリアのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

胸騒ぎのシチリア(2015年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーなんてどうでもよいのにすばらしい映画というのはたくさんあって、これもまたそのひとつではあると思うのだけれど、グァダニーノ監督特有のタッチは深読みと解釈の放棄とのあいだで揺れるような、独特な観賞後の気分がなんとも味わい深かった。

ロックミュージックを取り巻くショービジネスの雰囲気であったり、夏のシチリアでの美しい時間、嫉妬と愛情によって崩れていく関係性、10代の危うさ、嘘、そして死。すべてが文学的な愉楽に満ちていて、鑑賞中の幸福感は絶えない。情事と死が訪れ、嘘が明らかにことによってシリアスになるかと思いきや、にわかに想像もつかないコミカルな演出が挟み込まれ、なんともいえないラストシーンとととにあっけなく幕引き。どれも計算していないような計算を感じるというか、グァダニーノの手の上で転がされ続けた感じもある。観終わってやっぱりローリングストーンズを聴きたくなった。
doji

doji