ブルームーン男爵

ノーマ、世界を変える料理のブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

ノーマ、世界を変える料理(2015年製作の映画)
3.7
英国レストラン誌「世界ベストレストラン50」で、4回も第1位に輝いたデンマークのレストラン「noma」に密着したドキュメンタリー。「noma」はデンマーク語の「nordisk」(北欧の)と「mad」(料理)を組み合わせた造語。NOMAはミシュランでは2つ星で、創業者はマケドニア出身のレネ・レゼピ。

「noma」は、北欧の食材のみで料理をつくるという理念で、いままでにない斬新な味わいの料理を提供しているそうだ。最初は上手くいくわけがないと変人扱いだったが、徐々に評価されてゆき、英国レストラン誌「世界ベストレストラン50」で第1位になり、世間の世間の目はガラリと変わる。美食家の行く街はNY、パリ、ロンドンだったが、そこにコペンハーゲンが名乗りを上げたという。しかし、ノロウイルスの食中毒を63人出して窮地に。しかし、そこから復活し再度、世界第1位のレストランに輝くのだった。

nomaの黎明期から最盛期と挫折、再興をリアルに描き出している。noma以前は、デンマーク料理は注目度が低かった。しかし、nomaによってコペンハーゲンは料理の水準が上がったという。北欧料理は有名ではないが、寒冷な気候で農作物も豊富ではなく多彩な料理が生まれなかったのだろう。それを変革したのがnomaだという。

日本は「海の幸、山の幸」というように美味な食材の宝庫であり、実際、日本の食文化は上質かつ多様で、ミシュランの星付きレストランでみても、世界でも圧倒的な存在感のある美食国家といえる。美食家にとって日本は夢の国である。日本人からするとnomaの味覚の未開の地への冒険はなかなか理解できないが、食文化の寂しい国だからこそ慣習にとらわれない挑戦が出来たのだと思う。

ただnomが世界1位といっても、英国レストラン誌が選ぶというのがちょっと引っかかる。映画で、生きた蟻の料理が出てきて、「ん?」と思ったのも事実・・・。ただ新しい試みには、常に肯定的でいたいものだ。挑戦なくして前進はない。