昨年2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭の優秀賞、観客賞作品。
2003年イラク侵攻が始まる前と、首都が陥落した後のイラク市民を映すドキュメンタリー。
侵攻前の第1部では、戦争への準備をする市民の姿が見られます。井戸を掘り、窓ガラスにテープを貼り、燃料・食料を備蓄する。その辺りは1991年の湾岸戦争以来慣れたもののようです。たくましいけれど悲しいですね。
首都陥落後の第2部では、米軍の誤爆で家を破壊された市民、賊に財産を略奪された市民、フセイン政権時代に身内を殺された市民などなどが声と顔で苦悩を訴えます。
国の政治情勢、街の治安状態が混乱を極めていても、その間、人生の時計が止まるわけでもなく、人は生きていかなければならない。この作品の趣旨とは違うのかもしれませんが、それをリアルに感じました。
そして、やはり戦争の理不尽さ。
この戦争にも大義が無かったことを市民の目線で証明する映画。
ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2016にて。