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ヨーヨーのmingoのレビュー・感想・評価

ヨーヨー(1965年製作の映画)
4.3
東京フィルメックス2015にて鑑賞。
日本初上映ということで、往年のシネフィル伯父さん伯母さんで満席。

ピエールエテックスという作家存じ上げなかったけど、どうやらジャックタチの助監をやられていた方らしい…

また「ぼくの伯父さん」の洗練されたポスターを制作したのも彼で、イラストレーターとしての顔も持つ。赤く塗られたアクリルのような下地に白く抜かれたユロ伯父さんのグラフィックはポスターを観た人なら忘れないビジュアルの力強さが印象的。ちなみに最近だとカウリスマキの「ルアーヴル〜」などにも出演されてる。

当時のカンヌで出品され、ゴダールが絶賛したという監督・主演の本作、タイトルが「ヨーヨー」だからまぁなんとなく楽しめそうな映画だなくらいで観に行ったのだが、ところがどっこい。こんな映画愛に満ちた素晴らしいサイレント喜劇観たのはじめて。ちょっと衝撃的な面白さ。間違いなく本家ジャックタチもびっくりの出来◎

前半はほぼ台詞がなくフェリーニ「道」のザンパノジェルソミーナのオマージュ、ヒトラーチャップリンのオマージュなどサイレント期の映画にオマージュに溢れており、後半はヨーヨー(主人公)が成長し、トーキーに移行した映画史と連動するようにセリフを喋る。構成は完璧なのだが、スローや逆再生、ちょっとしたアニメーションなど技術も超一級品で飽きさせないサービス精神の応酬。何より絵(画面)がグラフィックデザイナーやイラストレーターならではの格好良さ。絶え間なく流れている画面なのに完璧な構図の写真をコマ送りしてるような美しさ。ちょっと参りました…

つまり世界恐慌と第二次世界大戦を経験し、戦争が終わり時代が進み、それでも生きる(家族、恋愛、不況、戦争、別離)ていう人生の縮図が詰まった映画愛に満ち満ちたこんな映画ありまっか?て話です。

何よりサーカスという一過性の題材と、喜劇が喜劇と呼ばれる切なさの融合のバランスが途方もなくグッとくる…
こんな素晴らしい映画を観れて生きてて良かったとさえ思いました。
僕にとってずっと心に残る大事な一本。