えんさん

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命のえんさんのレビュー・感想・評価

1.5
ジャッキーの名称で愛されていたジャクリーン・ケネディは、時の大統領ジョン・F・ケネディの妻であり、国を代表するファーストレディだった。しかし、1963年11月22日、ダラスでのパレード中に最愛の夫がすぐ隣で凶弾に倒れ、帰らぬ人となってしまう。ジャクリーンの人生は一変。悲しむときもないままに、葬儀の手配や副大統領へのホワイト・ハウスの引き渡しなど、やるべきことが山積みとなる。だが、その中でも夫を語り継がれる存在にするため、彼女が葬儀までの4日間に取った行動とは。。悲劇の大統領ジョン・F・ケネディの妻ジャクリーンをナタリー・ポートマンが演じた伝記ドラマ。監督は「NO」が第85回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたパブロ・ラライン。

オリバー・ストーンの「JFK」をはじめとして、ジョン・F・ケネディの暗殺事件を扱った映画は数多くあります。それは、この事件が未だに数々の謎に包まれており、事件が解決をされていないというミステリー性からでしょう。しかし、最近のケネディ暗殺にまつわる作品というのは、あくまでも歴史的な事実に言及し、その周りの喧騒を扱った作品も結構出てきています。数年前に見た「パークランド ケネディ暗殺 真実の4日間」というのも、そういう周辺タイプの作品でした。本作も事件そのものではなく、事件当日にいて、身近に関わったファーストレディ、ジャッキーに焦点が当たった作品となっており、その意味では同じ周辺モノといえるでしょう。ただ、「パークランド」もそうでしたが、こうした周辺モノって、何をテーマに描きたいのかというのがイマイチわからないんですよね。。

本作は映画としてはよくできている風に見えています。ジャッキーを演じたポートマンも、本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているように、ジャッキーという女性がもっていた大統領夫人(ファーストレディ)としての顔、愛する夫を失った未亡人としての顔、まだ父親が亡くなったことも分からない子どもの母親としての顔、そして、表に出ることが苦手なナイーブな女性としての顔、、様々な顔を持っていた1人の女性像を、悲劇的な事件を元にあぶり出しているといえます。でも、これって、誰が観たいんだろう、、と、ふと思ってしまうのです。こう書くと、なぜ僕がこの映画を観たいと思ったの、、と思われてしまうのでしょう(笑)。でも、単純に社会派作品的なテーマを求めていたのに対し、一人の女性の、しかも多面的な割に焦点の定まっていないような作品に感じてしまうのが残念な作品でした。