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海賊とよばれた男のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

海賊とよばれた男(2016年製作の映画)
4.5
出光興産創業者の出光佐三がモデルの主人公・国岡鐡造の一生と出光興産がモデルの国岡商店が大企業にまで成長する過程が描かれている。

戦争で東京が火の海になり焦土とかしても、残った社員を集め、一人も社員を首にしない。家族だからだ。日本と会社の再建すると檄を飛ばす。

在学中、石炭の時代の中、"石油の時代が来る"と察知し、また問屋を介さない広範囲の直売りを夢見る。神戸で丁稚奉公をして仕事を学び、恩師の投資家から無償で資金を得て独立。下関と門司の境界線の協定をかいくぐり、海上で石油を売りさばいたので、海賊と呼ばれた。

満州では、冬は雪で石油も凍るため、"凍らない機械油を開発"し販路を拡大。終戦後、売る石油がなく、新たに"ラジオの仕事"を元海軍と全国展開。以前からの同業他社の妬みから石油配給統制会社から締め出され、競合が嫌がる、GHQから旧海軍の燃料タンクからの燃料回収の仕事を引き受ける。現場にも率先垂範で働きに来る店主を見て、GHQは不公平な石油配給組織からの除外を撤回させる。この時、GHQで通訳をしていた、陸軍中野学校の教官、"英語と情報収集に長けた人材"を仲間にする。

主人公は、反骨精神の塊で、先見の明、人間尊重の信念を持ち、やらせるだけでなく時には無理なことも率先垂範、次第にプロの部下が集まり家族となっていく姿が卓越している。

海外での仕事も出ていたが、私の経験から、語学の必要性はもちろん、国ごとの宗教/主義のリスペクト、関連する法律や制度への精通、局地的戦争や疾病危機の回避、現地重要キーパーソンの選択、本社各部門専門家との連携が必要、時には覚悟しての行動も求められる。

例えば、サウジアラビアでは女性は目だけ露出が許され、サウジアラビア人は仕事をしないが法律で規定数雇う(自動ドアの開閉など)。社長や幹部は隣国の教授や資産家、オーナー、労働者はフィリピン、バンクラデシュ、ヨルダン。一日5回のお祈り部屋の設置、飲酒は法律で禁止、夜は宗教警察が監視、夏は50-60度の暑さ、トイレはまたぐタイプで紙はあるが基本、専用シャワー。戦争時の原材料調達/商品配下の回避ルート。幹部は日本での世界会議でケーススタディ、隣接するゾーン5-10ケ国での情報共有、現場へは本社の各部門や監査が支援。
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