小一郎

ヤクザと憲法の小一郎のレビュー・感想・評価

ヤクザと憲法(2015年製作の映画)
4.0
ヤクザの日常をそのまま示した映画。これだけ。しかし、十分だろう。ヤクザを取材することの大変さを考えれば、よくやったとさえ言えるかもしれない。

この映像の大きな意義は、 ヤクザについて見る側に考えるきっかけを示しているということだろう。実は凄く重いことを投げかけられていると思う。

暴排条例が制定され、ヤクザというだけで普通の社会活動も制限される昨今。ヤクザをかばおうとすれば一般人であっても法治国家の敵だ。

しかし、そんなヤクザのことを我々はどこまで知っているのだろう。普段どんな生活をしているのだろう。何故、得よりも損の方がはるかに大きいヤクザをやめないのだろう。そればかりか、実は普通そうに見える青年が、何故ヤクザになるのだろう。

ヤクザは歴史的にみて、どのような存在だったのだろう。今の社会にとってはどうなのだろう。ヤクザのいない社会ってどんな社会なのだろう。そもそも反社会勢力って何なのだろう。

ヤクザの排除に向かう前に、ヤクザについてよく考えるだけの十分な情報の提供、あるいは情報を提供していることの十分な周知を、我々は受けたのだろうか。ヤクザの言い分に耳を傾けたのだろうか。もし、それがなかったとしたら、実はもの凄く怖いことではないのか。

ヤクザをやめろというのは簡単だ。しかし、ヤクザについて、映画や小説で仕入れた程度の知識しかない自分が、ヤクザをやめた人を受け入れることができるのだろうか。ヤクザをやめた人はどこに行くのだろうか。自己責任と切って捨てて良いのだろうか。自分はよく考えなければならないようだ。