shibamike

ヤクザと憲法のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

ヤクザと憲法(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

組長が映画最後に言う「どこが受け入れてくれんの?」がすべてを物語る。

ヤクザが裏社会で幅を効かせていたのも今は昔。ヤクザは表社会に引っ張り出され、幼稚園、銀行、宅急便等、普通のサービスを受けれないようにガンジガラメ。

ヤクザになる若者というと暴走族や不良少年だったりすると思っていたが、本作では引きこもりっぽい若者しか出てこない。昔のドロップアウト(不良)と今のドロップアウト(引きこもり)が変わっているのだなと思った。


上映後、本作監督のトークショーがあり、とても面白かった。

監督が本作に絶対入れたかったシーンは21歳の若い子がインタビューで語る「嫌なヤツと嫌なヤツがぶつぶつ言いながらもお互い居場所があるのが良い社会だと思う。」のシーンだったらしい。確かにこの映画ではヤクザ(嫌なヤツ)は存在を抹消されつつあり、若い人のコメントは印象的な暗示になっている。

あと興味深い話だったのが、東海テレビのドキュメンタリー部門?というところは局内の落ちこぼれ達(そういうニュアンスのことを言っていた)の受け皿的な面があるらしい。一般的にテレビ局の優秀な人というのは処理能力が高い人らしい(どこの会社も似たようなものか)。
高い処理能力を誇らない人達が流れ流れてドキュメンタリー部門にやってきており、ここしか生き残る場所は無いと背水の陣で取り組んでいる、といったことをおっしゃられていた。
自分はこの話を聞いて体が震えた。処理能力がどうたらこうたらはよくわかんないけど、東海テレビドキュメンタリーの面白さはガチである。実際劇場には普段よりも人が入っている。処理能力の高さがすべてでは無いと証明してくれており、昭和の野球漫画(キャプテンとか)を見た時に似た興奮を覚えた(弱小校が強豪校に勝つ的な)。あ、勿論自分は処理能力低いので会社では冷や汗でグショグショですよ(^-^)。

ドキュメンタリーの作り方として、結論を決めずにとりあえず映像を撮り続けて、貯まってきたところで、あれこれどういうことだ?とかチームで頭を捻ってまとめていくらしく、正に「生き物」のドキュメンタリーなのだなと思った。

組長が道路の傷ついた鳥を助けるシーンがあったらしいが、編集マンの判断でカットされたらしい。そのシーンがあったら胡散臭くなりそう(笑)。

顧問弁護士の人はその後、作家になられたそうです。

DVD化は無いそうです。(ヤクザ屋さんに儲けのために製作したわけではないと説明しているため、とのこと。エライ!)
続編も無いそうです。

取材のヤクザ屋さんは作家、ライターのツテで出会ったそうです。(名古屋の大手ヤクザ屋さんにはコンプライアンス上の理由で取材を断られたらしい。)

TV放映、映画化に際して色々ヤクザ屋さん、警察屋さんでゴタゴタもめたらしい。どちらも面子、プライドを重要視していると思うので、よくぞ公開してくれたと思います。

最後に序盤の大阪新世界にて御飯やさんに組長が入るシーンがあるが、その御飯やさんのおばちゃん、西川きよしに似すぎ!
shibamike

shibamike