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ヤクザと憲法のeulogist2001のレビュー・感想・評価

ヤクザと憲法(2015年製作の映画)
3.8
憲法第14条。法のもとの平等、基本的人権。それが法を犯した暴力団の組員にも適応されるのか?

暴対法行以降、しのぎが苦しくなってきているヤクザの事務所と山口組の弁護士として有名になった山之内幸夫弁護士に密着したドキュメント。

小さい頃に恥ずかしいのを通り越して、極めて貧しく育ったものが多いはぐれ者たち。山之内弁護士も小さな魚屋の子沢山の中で育ち、そうした境遇は似ている。

組長は言う。社会からこぼれたものを誰が本当に助けてくれるのか?
宮崎学に心酔して、ヤクザになった二十歳の若者は言う。互いに嫌っていてもそれをすべて排除するの社会はやはりどこかおかしい。
元弁護士は言う。弁護を引き受ける際にリスクは承知していたが、似たような境遇で育ったものとして、関心が優ったところはある。

確かに暴力団が減ったことで、社会がより健全にはなったようにもおもうが、半グレなどが出てきて暴力による支配で儲けようという輩は尽きない。

暴力を排除するなら罪を犯した人間を受入れる仕組みも一緒に導入しないと、いじめと同様に別のどこかにより巧妙に見えないような形で深く潜航してしまうのかもしれない。

いろんな切り口、多彩な見方で考える事が出来るキッカケになる作品だった。
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