麻薬カルテルが支配するメキシコ。
暴力が蔓延り、法は無力。
秩序のないカオスな世界。
あー怖い！
世界は広いけど、自分がいる世界とのあまりのギャップにショックを受けています。
メキシコのミチョアカンで、麻薬カルテル「テンプル騎士団」が町を乗っ取り、住民から金を巻き上げ、抵抗したら首を切られたりして見せしめ的に惨殺される。
子どもでも関係なしに撃ち殺されたりして、警察も政府も無力、というかカルテルと繋がってるというから救いようがなくて、そこで町医者のミレレスが立ち上がり、自分達で街をカルテルから守るべく自警団を作ったというので、そのミレレスに密着したドキュメンタリーです。
行く先々の街で自警団は住民から支持され、支援を得ながらカルテルから街を奪還していく過程もすごいし、軍隊が来て自警団を武装解除しようとしたら、住民達が暴動寸前くらいまで軍隊に抗議をし追い返したりと、ドキュメンタリーにしては出来すぎやろと思うくらいにドラマチックな展開を見せて行くのです。
ですが、組織が拡大し影響力が強くなるにつれ、武器もたくさん持って警察か軍隊のような権力を持ったような気になり始めると、どんどん怪しい方向に転がり、正義の為の自警団だったはずが、過剰な暴力や犯罪行為など問題を起こしていき、お前もカルテルと同じやないかいっ！という風になってくる、そういう組織の腐敗っぷりが克明に記録されていて、よくこんな映像撮れたものだと驚きます。
そもそもこの自警団、なんでこんなに武器持ってんの？ユニフォームの白いシャツとか揃えたり、ミレレス凱旋パレードとか、なんか色々すごい。
どこから資金が？とはじめからちょっと疑問ではありましたが。
暴力、権力、金って人間を狂わせるんですかね。
それを使って立場を優位にし、人々を支配したくなるのでしょうか。
それが暴走しないためにも法があるはずなんですが、もう何もかもがズブズブで、政治も警察も軍隊もマフィアと繋がってるから、ほんと地獄ですよ。
まるで自分の世界と乖離してるために現実感がないけど、これがリアルに起きてるって恐ろしいです。
やっぱり武力で何かを解決する事自体が難しいのかなと思ったり、かと言って平和的な解決方法もわからないのですが、根底には貧困の問題もあるわけで、そこを何とか良い方向に持って行って、時間かけながら立て直すしかないのでしょうか。
メキシコとの国境で麻薬や不法入国を防ぐために自警団をやってるアメリカ人の退役軍人の活動も映していて、こちらの方は本場メキシコと比べるとそこまで暴力にまみれたりしてるわけではないのですが、この人見てると、アメリカでトランプが大統領になってしまった理由の一端が分かる気がしました。
こういう人が支持してるんだろうなって。
それにしても、冒頭から夜闇に紛れてメスを製造するとこの映像なんかすごすぎ！
まんまブレイキングバッドの世界ですよ。
ブレイキングバッドでは秘密のメス精製工場がありましたけど、外で適当な感じで作ってて驚きます。
そして最後の衝撃の事実も明かされ、メキシコの麻薬をめぐる闇の深さをまざまざと見せつけられました。
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