すずき

トマホーク ガンマンvs食人族のすずきのレビュー・感想・評価

3.7
19世紀末〜20世紀初頭のアメリカ西部の小さな街ブライトホープ。
ある日、逮捕された怪しげな流れ者と、彼の怪我を治療していた女医のサマンサ、そして保安官副官のニックが姿を消してしまう。
現場に残された矢から、原住民に連れ去られたものと推測された。
彼らは穴ぐらに住む食人族で、大まかな居場所しか分からない謎の一族だった。
サマンサの夫で現在片足を骨折中のカウボーイのアーサー、初老の保安官ハント、保安官助手のチコリー、ガンマンのブロンダーの4人は、救出の為に食人族の住むと言われる谷へと向かう…

B級っぽいタイトルから、バカっぽくて景気のいいアクション映画かと思った。
しかし実際は、シリアスで結構真面目、かつ異色の西部劇だった。
もちろん食人族が出てくるからゴア描写は相当気合の入った物だけど。

映画全体のペース配分も独特なのも気に入った。
前半はスローペースで、キャラクターの紹介にたっぷりと時間をかける。
不穏な空気の漂う中、いよいよ事件発生!

中盤、4人チームで食人族の住処へと向かう道中を描くロードムービー風な展開。
ここでも割とスローなペースで、派手な撃ち合いとかは無くって、メキシコ人2人と盗賊1人くらいしかエンカウントしないんだけど、地味に面白い。
主人公が片足骨折してるから、なんて事のない道中でもメチャクチャ辛そう。
その状態で長い山道を歩くとか、観てるこっちも息が詰まる!

んで、いよいよようやく、食人族のアジトへ乗り込む問題の後半。
溜めに溜めたゴア描写が突如牙を剥く!
股を裂いて内臓を捌く所とか、凄く見応えある人体破壊で良かった。
でも、ゴアもアクションも、ド派手な感じではなくって、淡々とした見せ方なのは変わらず、それが独特のバランス感。
当初期待していたのとは違うし、合わない人には合わないだろうけど、結構好きな雰囲気ある作品でした。

しかし、せっかくダイナマイトという小道具がありながら、最後までそれを使わなかったのは不満かも。
安易な爆発オチにしたくなかったんだろうけど、もうちょっとクライマックス感が欲しいラストバトルでした。

ラストバトル終了後の、ちらっとだけ映る食人族の女が最恐。
それとも街から攫ってきた女だろうか?
どちらにせよ恐ろしいシーン。