2019年 イギリス 監督セドリック・ヒメネス
キャスト:ゼイソン・クラーク、ロザムンド・パイク
ナチス第三の男ハイドリヒ(ゼイソン・クラーク)とその暗殺を描いた映画。
「鉄の心臓を持つ男」とヒトラーが評したと本作の中で出てくる。それぐらい冷徹で残虐だったのだろう。
この映画は前半と後半では主役が入れ替わる。前半はハイドリヒの挫折と成り上がりのドラマ。成り上がるためには元々ナチ党だった妻リーナ(ロザムンド・パイク)の力が大きいが、ぞの残虐性は群を抜いていたのだろう。チャンスをもらった彼はどんどん出世し、第三の男と言われる所まで行き着くが、次第に妻とは関係が悪化する。
彼の考えは、ユダヤ人を根こそぎこの地球上から処理してしまおうと言うのだから、何人殺したか訳がわからないし、殺し方も動物以下の殺し方をしているに違いない。この映画でも殺しまくる。一つの思想に取り憑かれたら何も見えなくなる典型的な事例。
ハイドリヒの狂気は凄まじい。
後半は、この男を暗殺しようとイギリスからやってきたヤンとヨゼフの話。ナチスの高官の殺害に成功したのはこの事件だけらしい。もちろん実話だ。周りが全て敵という状況でよくぞ成功させたものだ。全て祖国のためと彼らは言う。どこかこの頃やたら聞く言葉。我々はこの言葉を胸の奥底に持っているだろうか?
#2022-237