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ナチス第三の男のpepoのレビュー・感想・評価

ナチス第三の男(2017年製作の映画)
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随所で主張してくるエモーショナルな音楽を少々過剰に感じてしまったのは、それほどドラマに重点を置いた作りになっていなかったからだろう。
特に前半は「状況の概要を駆け足でご説明」みたいな、既視感のあるドキュメンタリー映像を切り貼りしたっぽい部分が目立つ印象。俳優さん達のせっかくの存在感がもったいないのでドラマ的にも全体の展開にももうちょっと“効く”エピソードで繋いでほしかった。
後半は「ハイドリヒを撃て」縮尺版。あれの翌年にこれを出すってまさにIRON HEART...
こちらのヤン&ヨゼフのWジャックさん達は、任を負った苦悩とかより、まだどこか幼さの残るわちゃわちゃ感とかが際立っていてこれは見てて別方向から切ない気もした。あの作戦ではさすがにその雰囲気ではないやろと思うけど、実際の戦場にはあんな風に、最後までまだ自分も死ぬんだという事がよく呑み込めないうちに散っていった若い人達も多かったのかもしれないな...
虐殺映像を連発すれば非道さが伝わるという訳ではない、けど「村ひとつを丸ごと殲滅する」という行為を言葉だけでなく映像で見せられるとやはり戦慄してしまう。
ナチスの高官を「非情」とか「野獣」とか中二カッコイイみたいな言い方で表現するのやめた方がいいと思う、あの人ら単に他者の痛みに鈍感な、EQ的にどんくさいだけの人らやんか。自分の子供にのみ情があるとか、感性の回路の接続がポンコツな証拠だから優生思想なんか謳うんであればまず自分の不具合を直視しろと思ってしまった
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