原題は45 Years 。物語はこれから1週間後に結婚45周年を迎える老夫婦に届いた1通の手紙から始まる。それによって訪れるさざ波や止まない余波を静かなトーンで描いている。
邦題も見事だけれど、妻にピントを合わせ(ピントのズレた)夫の顔を半分も写していないポスターも、この夫婦に訪れるさざなみを上手く表現しているように思う。
以下ネタバレになるかも
手紙をきっかけに時間は止まり、時はいったん過去へ向かって進み出そうとする。それでも今を生きることを選択する夫。一方妻は平静を装いながらも、天井裏で蘇る亡霊に心をかき乱されていく。
随所に並べられた詩的な台詞も素敵だけれど、語らなくても伝わってくるシャーロット・ランプリングの仕草や佇まいに心を奪われる。
本編終了後に流れる「Go Now」に波風のない心地よさを感じ聴き入っていると、エンドロールも終わろうかとする寸前で再び曲は変わる。それがまたさざなみのように聴こえてきて…
彼女の話は、おしまい
話したいけれど、やめておく
