FukiIkeda

さざなみのFukiIkedaのレビュー・感想・評価

さざなみ(2015年製作の映画)
4.4
すごい。
そしてこの邦題は秀逸。
シャーロット・ランプリング、本当に素晴らしい女優さんです。この方が主演するだけで、いい映画なんだろうなって気にさせられる。そんな俳優、日本になかなかいないよね、、、。
もう、なんだろう、この滲み出る静かな怒りの抑制感。
男と女の性質を凄くリアルに描いていると思った。
ある事がキッカケで45年間、心の内に秘めていたことを、出さずにはいられなくなったある日。
まるで母親に対するように心を開き、さらけ出すことが愛だと思い、うんうんと静かに話をきいてくれる妻にどこまでも甘えてしまい衝動を抑えきれない夫。
受け入れてあげたいけれど、今まで隠されていた事を消化できないうちに、バラバラと知りたくもない事を知らされ、知れば知るほど辛くなるのに、明らかにしないと心が晴れなくて、見なくてもいいものまで見てしまう妻。
この歯車が全く別の方向へ咀嚼されていくわけで。
男はどんどんと開き、女はどんどんと閉じていく。自己完結していくからね。
女はね、きっとずっと知らないほうが良い。
いらぬ心配をさせてはならない生き物なんです。
それはあの人が教えてくれたこと。
あの人に感謝してる事。

夫のスピーチが本当の気持ちだからこそ、あの時の、もう取り戻せない間違いが、凄く鈍い色で滑稽に見えて、切ない。
FukiIkeda

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