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さざなみのレクのレビュー・感想・評価

さざなみ(2015年製作の映画)
3.9
一通の手紙による嫉妬心を介して45年連れ添った熟年夫婦が揺さぶられる。
美化された過去の記憶は決して色褪せることはない。
回想ではなく語りで見せる現在と過去の対比。
そこから生まれる不安や葛藤を表面化しないよう押し殺す様は実に繊細で、アンビバレントな感情の波が押し寄せてくる。
なんて残酷な映画なのか。

‪回想を交錯させることで現在と過去の対比を見せていた『ブルーバレンタイン』と比べて『さざなみ』は別のアプローチなのがキツい。‬
‪人生は選択の連続。‬
‪その選択肢の結果がこの45年という歳月の中に詰め込まれ、その後の時間経過は積み重ねてきた人生の帰結をも想起させる恐怖にも似た感覚に苛まれる。‬

改めてアンドリュー・ヘイの凄さを知った。
視覚的ではなく精神的な描写に特化した作家性と言いますか…一見、役者頼りにも見えるけど役者の演技を引き出す演出が随所に散りばめられてる。
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