チキン女郎

シティ・オブ・ゴッドのチキン女郎のレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.8
めちゃくちゃ面白かった。こういう映画を見たかった。これがブラジルスラムの現状だということを考えれば、この内容を面白いと言うのは不謹慎かもしれないけど、めちゃくちゃ面白かった。本当に。

内容は60~80年代のブラジルのスラムを舞台にしたギャングの抗争劇。友情、恋愛、裏切り、成功、挫折、憎悪、嫉妬、苦悩等の人間ドラマ部分もリアルで非常に良くできており2時間画面に釘付けだった。

小学生ぐらいの子供がお使い感覚でドラッグの運び屋をしていたりナチュラルに拳銃持って人を殺していて、ブラジルスラムの治安が悪いことはなんとなく知っていたけど、ここまでとは・・。足を撃たれて痛がってる子供と怯えてる子供のどちらかを選んで子供に撃ち殺させるシーンは衝撃だった。

彼らは働かずに強盗やドラッグの売買をして金銭を得ていて「お前ら働いて稼げよ!」と思うけど彼らが働ける場所は重労働低賃金で、いくら働いてもやっと生活していけるかいけないレベルなので、そんなコスパ悪い事やるなら犯罪してデカく稼ごうと思ってるんだろう。ブスカ・ペが働いた結果「正直者が馬鹿を見る」と悟るけどこの地域ではそれが現実だし、みんなそれを知っているから犯罪が後を絶たない。

一区切り終わったかと思っていたら、結局スラムは何も変わってないと分かるラストはスラムの貧困問題の根深さやリアルな現状が表れていて、とても良いと思う。