HicK

パディントン 2のHicKのレビュー・感想・評価

パディントン 2(2017年製作の映画)
4.1
《世界観を守りながらも、よりセンスの光る演出・脚本》

【より濃いメタファー】
前作以上に「移民・人種差別」のメタファーが色濃くなっていて、パディントンが世の中の理不尽な厳しさに揉まれる姿や偏見の目で見られる描写が強くなっていた。冷静に考えと今回の彼の冒険はとても過酷でダークな展開。その中でパディントンを疑う隣人カリーに対して放ったパパの言ったセリフ「お前はクマと言うだけで偏見を持つ」はカッコよかった。

【初登場】
ヒュー・グラントが本当に楽しそうでなにより 笑。振り切れっぷりが見ているこっちも楽しかった。自身の過去の写真を飾ってあるナルシスト感も面白い。

ナックルズ役のブレンダン・グリーソンもいい味出してる。

【オシャレな演出】
飛び出す絵本を使った演出や、刑務所内の横スクロール演出など、今回もファンタジー溢れる演出が素晴らしかった。センスがいい。

前作同様に細かな伏線回収にクスッとさせられる。その回収の仕方が1作目の踏襲にもなっていて、とてもキレイな"お決まり感"であり、気持ちいい。特に"掃除機=りんごあめ"、女装に惹かれるセキュリティー、そしてまたヒーローになるパパさんが特に面白かった。

視覚的演出だったり、伏線回収だったり、なんか全ての演出がいちいちオシャレ。すごい。

【総括】
前作以上にダーク、でも楽しく、社会派な皮肉もあり、ファンタジー演出も磨きがかかっている。面白い伏線回収もとてもクレバーに挿入され、最後にはウルッと感動する場面も。とにかく全ての要素がパワーアップしていて、かわいい顔しながらも、それらをサラッと取り込んでいる演出や脚本のセンスが抜群に良かった。

ヒュー・グラントによるエンドクレジットシーンも"最高のデザート"感覚で作品全体のバランスをとても良く保っていると思う。
HicK

HicK