せーじ

パディントン 2のせーじのレビュー・感想・評価

パディントン 2(2017年製作の映画)
3.9
イオンシネマ市川妙典で吹替版を鑑賞。
映画の日ではあったものの、平日昼間ということもありガラガラで、自分を入れて3人ほど。ちなみに前作は未見。本作も観るつもりは無かったが、非常に評判が良かったので、観ることに。

とてもよく出来ていた作品だとは思ったけれど、惜しいと思った部分が2箇所出てきてしまった。

ひとつは、パディントンがアルバイトで窓拭きをやろうと考えた動機を単なる思いつきではなく、もう少し具体的にしてほしかったということ。例えば、住んでいる街の誰かに仕事がうまくいかない悩みを打ち明けると…というような。これがあれば「信頼を築く」ことの大切さが、より際立ったのではないかと思うのだ。
もうひとつは、この手のコメディ映画に必要不可欠な「因果応報」や「フォロー」がきちんとなされていないところ。特にエンディングで、それまで主人公にずっと冷淡で差別的だった人物を放置したまま、弄らなかったことと(皆の前でモジモジさせながら謝らせるべきだったし、パディントン達はそれを見て笑って受け入れさせるべきだった)、悪役が獄中で、タイムボカンシリーズのおしおき的な"笑える酷い目"に合わなかったこと(例えば悪役の彼はマーマレードサンドが大嫌いでした!という設定を足すだけでいいのに)は、とても問題だったと思う。
このふたつが成されていれば、個人的には完璧だったのに…

とはいえ、序盤の楽しげな街と中盤の寂しげな街との映画的な対比や、冒頭でパディントンが提示したブラウン一家の現状を、うまくクライマックスでの伏線回収に繋げたストーリー展開はとても秀逸で、それまで割とツッコミ役で冷静な姿勢を崩さなかった人物に、いちばん重要なところでバシッと大切なことを訴えさせるのにも関心した。
映像的な面白さにも溢れており、"飛び出す街"や"淋しさから生い茂る森"、"洗濯"や"料理"の場面は、リアリティラインどうこうを超える面白さや感動があったと思う。

イギリス映画特有のエスプリが効いたユーモアが好きな人には、おすすめしたい作品だなと感じました。あと、斎藤工さんすげぇな…
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