Daisuke

SCOOP!のDaisukeのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
2.9
『私が求めている"カメラ映画"』

この作品はパパラッチを題材にした映画ですが、こういった「カメラを手にしたもの」、つまりは「覗く者」が描かれる映画になると、
私はどうしても「あるテーマ」へと走り出してほしいと願ってしまう人間です。
そこで、今回もそれを確認しに劇場へ向かいました。

結果から言えば、
やはり今回も「私が見たいもの」は描かれませんでした。
ですので、ここから先はこの映画を少しだけ否定する事を書いたりしますが、あくまで「私が求めてたものではない」という勝手な視点である事をご了承下さい。

芸能人のスクープ映像を撮っている福山さんは、二階堂ふみ演じる新人の教育をする事になります。
そして二人はスクープを撮るために街へと向かう、、、

と、実は序盤の福山さんの演技からどうにも違和感を感じ、二階堂さんの演技も「あれ?」と思うほど極端であり、リアルな雰囲気は感じれませんでした。
なんというか、漫画のキャラクターのような造形演出で、二人のコンビが見所のはずなのに心がウキウキしなかった事が最大の要因だと思ってます。

序盤の後半から中盤にかけ、リリーフランキー演じる謎の情報屋が出てきます。福山さんとの関係や背景が少しずつわかるあたりはとても面白く見れました。
ですが、ある現代的なテーマが見えたかと思ってワクワクすると、それもフワリとかき消され、また人間関係のある部分が見えてきて、そっちのテーマか?と思うとそれも消えていきました。

この映画は何を見せたかったのか。
実は今だに自分はわかりませんでした。

こういった「カメラを手にした者の映画」では、去年に見た『ナイトクローラー』という作品が、
自分が求める本質に近いテーマへ行こうとしていて素晴らしく、
とは言っても、
最後の最後で、結局は自分の求めている方向へは舵を切ってくれませんでした。

自分もカメラを握ってきた人間であり、ファインダーから見える世界を多少なりとも見てきた人間です。
だからこそ、自分が知ってる「あのテーマへ」と踏み込んだ映画が見てみたい。

今日行った新宿の劇場で、大きな一眼レフを持った女の子が1人できているのを見かけました。
これは、彼女が求める映画であっただろうか?

私はどうしても見たくて追い求めてるだけなんだと思う。

どれだけ人に止められようが、
どれだけ醜く映る光景が広がっていたとしても、
全てが消えて、
ファインダーに映る光の中に「美」を見てしまった人間の、

悲しき強欲の物語を。
Daisuke

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