えんさん

SCOOP!のえんさんのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
1.0
かつて凄腕カメラマンとして活躍し、一線級の報道カメラマンを目指していた都城静は、ある事件をキッカケに今は芸能スキャンダル専門のパパラッチに転身し、フリーの立場で自由奔放に仕事をしていた。ひょんなことから写真週刊誌「SCOOP!」の新人記者・行川野火とコンビを組むことになる。性格が合わずに衝突ばかりしていた2人だが、次第に息があってきてスクープを連発していくのだが。。1985年の原田眞人監督・脚本作品「盗写/250分の1秒」を原作・原案に、「バクマン。」の大根仁監督と「そして父になる」の福山雅治が初タッグを組んだ異色スクープドラマ。

今やTwitterなどのソーシャルメディアが進化しすぎて、様々な事件のスクープは、テレビ・週刊誌のような旧媒体は遅れを取っている印象の昨今。その中で観た本作ですが、まず感想を言ってしまうと、洗練された映像美や福山雅治の華麗な演技とは裏腹に、内容が酷く古臭いな、、と感じてしまいました。この映画の元ネタになっている映画作品が、1985年の作品と聞いて、だからか、、と妙に納得しました。これが1970〜80年代に公開されているならいいのですが、現代に置き換えてやるには相当苦しいの一言。せめて時代設定を、1990年代くらいにしたほうが見栄えがしたかもしれません。

この古臭い展開の物語と、福山雅治という俳優もミスマッチしています。。端的にいうと、本作の主役・都城は、ワイルドさと繊細さを兼ね備えた松田優作がやるような役柄なのです。僕個人の印象だけで申し訳ないのですが、役者・福山雅治という人物は、顔立ち等々の外見の部分はハンサムで男前なのですが、こと演技となると、演じる所作が全て表面的過ぎて、内面で何を捉えているかが見えてこないのです。是枝監督と組んだ、前作の「そして父になる」では、その何を考えているか分からない感が、一人の現代的な男が父になっていくという物語とドンピシャなキャスティングだったのですが、幾重もの修羅場や現場経験を積み、荒っぽい本作の都城は全く彼の役どころには合っていない。相棒となってい行川演じる二階堂ふみや、まさに怪演を魅せるリリー・フランキーのようないい役者が周りを囲むだけに、より福山の異様ぶりが目立っているように感じて仕方がなかったです。

ただ、古臭いとはいえども、お話自体はそれほど見れないものではなく、週刊誌の裏側でどんなことが行われているかとか、70年代ドラマのようなダンディズム溢れるお話の流れも、すごくしっかりとしているものです。この映画でダメなのは、それをどういう設定で作っていこうかというのが、全体的にチグハグしていること。このチグハグ感が最初から最後まで続いてしまい、しっかりとしたお話も、凄くつまらないものになっているように思います。