普通って難しい
軽度の知的障害を持つ真白(佐藤みゆき)の淡い恋と、真白を守ろうとする家族たちの葛藤を描く、ヒューマンドラマ。
これは拾い物。傑作。優しさに溢れた丁寧な描写、演者たちの自然な演技、富山の自然。それらによって、一見地味なストーリーなのに、いつの間にか引き込まれている。
真白の障害は日常生活には支障のない程度なんだけど、父(長谷川初範)や兄(杉浦文紀)は過保護に真白を守ろうとするが故に、真白の自由を奪っている。それも、真白への愛と責任感ゆえなんだけど、真白が普通じゃないと他人から指摘されると怒るくせに、真白を一番普通に扱ってないのは自分たちだという矛盾。むしろ、いとこ(岩井堂聖子)や兄の嫁(及川奈央)といった、少し距離のある人たちの方が、自然に真白に接することができてる。そして、真白が思いを寄せるカメラマン(福地祐介)。真白の障害を知らない彼は、それを個性とみなす。
誰も悪くない。でもちょっと間違ってる。恋というさざなみが、それに気づかせてくれる。