ちゃんみか

真白の恋のちゃんみかのネタバレレビュー・内容・結末

真白の恋(2015年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

北川亜矢子の脚本が好き。「ホクサイと飯さえあれば」同様シンプルだけど個性が見えて、ほのぼのとシビアが入れ替わり立ち替わりやってくる感じ。
ほぼ全員知らない役者さんだったけど、みんなすごく上手い。お兄ちゃんのお嫁さんのキャラと醸し出す謎の大物感がいい。
油井は間違いなくいい人だし真白に好意もあるけど、恋愛としての好きではなくあくまで、仕事がうまくいってない時期に訪れた田舎で素敵な風景と人々に力をもらいました、また頑張るぞ、というスタンスでしかないんだと思う。
最後の真白の全身全霊の「ばいばい」と、油井のちょっと寂しそうな優しい声の「ありがとね」の対比が残酷だった。
主題歌(とてもいい曲で何度も聞いた)の歌詞の「あなたはわたしを忘れるでしょう」という一文は、悲しいけれどその通りだと思う。結局のところ彼や雪菜が真白のありのままを受け止めてくれるのは、それぞれ東京で挫折した(雪菜は不倫のいざこざで仕事を辞め帰郷。油井はカメラマンの仕事がスランプぎみ)経験があって、社会に上手く適応できない劣等感から真白にシンパシーを感じてるってだけのことかもしれない、と考えたら切ない。でも、ラストの真白の顔つきを見たら、そんなことはどうでもよくなった。普通になれなくても選ばれなくても、ちゃんと一人の人を好きになったという記憶が真白に自信を与えたんだと分かった。
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