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ハドソン川の奇跡のこーべいのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
3.7
2009年にニューヨーク・マンハッタンで実際におこった『USエアウェイズ1549便不時着水事故』をテーマにした作品。

突然の事故により上空850メートルで制御不能になった航空機を、空港に着陸させるのは無理だと判断し、近くに流れるハドソン川に不時着水させた機長・サリー(ハリソン・フォード)の話。

最初は乗客155人の命を救った「英雄」と讃えられたがその後、事故調査委員会の報告により一転、「容疑者」となってしまう。


重々しい雰囲気の中、再現VTRのようなものを挟みながら物語は進む。英雄と讃えられつつも、心はまったく晴れないトム・ハンクスの表情が印象的。

自分では「絶対こうだ!」と正しいと思っていたことが、周りから「いや、そうじゃなかったんじゃないの?」と言われると「そうだったかな?」とどんどん自信がなくなっていくことは普段の生活の中でもよくあることだ。

サリーの場合、豊富なパイロットとしての経験から「自分の判断は正しい」という揺るぎない自信は人一倍強かった一方、間違っていた場合の影響の大きさが尋常ではないため、周りから疑念の声があがったときの不安はとてつもないものだったであろう。

この状況を想像すると、おそらく心を許せるのはその状況下に一緒にいた副操縦士のジェフ(アーロン・エッカート)くらいだと思う。

こんなとき奥さんのローリー(ローラ・リニー)が騒いだりすると、本当に「お願いだから黙っててくれ…」と思うんだろうなあ。奥さんもかわいそうだけど。
なかなか人生の修羅場だ。

96分で短くわかりやすくまとめてあるという感想だが、逆に言うと「映画にするほどでもない」と感じてしまった。

非常に作り込みレベルの高い「アンビリーバボー奇跡の生還スペシャル」という印象。