LalaーMukuーMerry

ハドソン川の奇跡のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
4.2
ニューヨーク、ラガーディア空港を離陸直後に、バードストライクに会い2つのエンジンの両方がダウンしてしまった旅客機。それを冷静な判断で操縦してハドソン川に無事着水して奇跡的に乗客乗員全員の命を助けることに成功し、一躍ヒーローとなった機長サリー・サレンバーガー。
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2009年1月、日本にも報じられたこのニュースは記憶に新しい。事故発生から着水までのわずか208秒の間に何があったかを丁寧に追った物語。
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でも物語はモヤモヤした感じで始まる。ヒーローのはずの機長の判断が実は間違っていたのではないか? 事故発生後すぐにラガーディア空港に引き返せば戻れたはずだとシミュレーション結果が示したのだ。機長は判断を誤って乗客をわざわざ危険な目に会わせた可能性があるという。
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そんなー!?
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クリント・イーストウッド監督だから、またしても重たい判断が観客に投げかけられるのかと、心配しながら見続けると…、 終わってみれば意外にもスッキリ。アメリカにおける仕事のプロフェッショナルたちの良心、志の高さ、謙虚な姿勢に深く感動するとても良い作品でした。
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重大な事故が起きると、ここまで冷徹な検証がおこなわれるのですな。盛り上がっていたヒーロー話に冷や水を浴びせるかもしれない、こんな検証をやる必要あるのか? とも思いましたが、そういう考えこそ政治的(あるいは忖度)、決して将来のためにならない。見方を変えれば、この人たちも事実を重んじる謙虚な姿勢のプロフェッショナルでした。