ぎー

ハドソン川の奇跡のぎーのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
4.0
世界的にニュースとなった「ハドソン川の奇跡」を題材とした作品。世界的に大きなニュースになったとはいえ、毎日沢山のニュースが生じている。その一つ一つの出来事にこれだけ沢山の見方があり、これだけ人生を左右される人がいる。そのことを痛感させられた。また、何の疑問もなく私達は毎日便利に生きている。ただ、その影には人々がそうやって生きていけるように支えてくれている大勢の人達がいる。本作のサリーのように。「初めて起こるまでは、何事にも前例はない。」ただ、常日頃から備え、経験を重ねると、可能性は大きく広がる。彼にとっては当たり前のことをしただけかもしれない。でも、その当たり前の努力が積み重なって幸せに生きていけている。映画は事故の後の取調べから始まる。タイトルから、ないしは、宣伝からパニック映画を期待して鑑賞した人は出出しで大きく裏切られるだろう。事故当日のサリーは冷静沈着で、奇跡を起こしたヒーローというよりも職人。動揺する乗客に呼びかけた言葉は一言。「こちら機長です。衝撃に備えてください。」その状況において、何よりも乗客に適切な分量の一言だっただろう。本作の流れ上、ともすれば捜査機関は悪役になってしまう。でもこのような事故が起きれば、調査の実施は当然であろう。そして、イーストウッドも決して悪役には描かなかった。今回の奇跡はきっと映画化されると思っていたけど、イーストウッドに映画化されて本当に良かった。脚色をつけて大袈裟な奇跡にしたり、登場人物に分かりやすく善悪がつけられることが全くなかった。実際に起きた出来事の映画化作品として、本当に秀作だった。
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