せーじ

森山中教習所のせーじのレビュー・感想・評価

森山中教習所(2015年製作の映画)
3.8
165本目も、toncoさんからのリクエストで。
原作は未読。この監督の作品を観るのも初めて。

実は中盤くらいまで、全然合わなくて結構しんどかったです。
そもそもこの教習所に主人公が通うことになる経緯自体が突飛すぎるし、気の抜けた話運びと演出でナニコレ…と思ってしまったりで。
主人公もつくられたバカっぽさが鼻についてしまって、マンガみたいだよなこれ…と思って原作を調べたらマンガだったんですよね。ということで鑑賞後に検索して最初の方だけパラパラ読んでみたんですけど、読んでみてやっと理解が出来た気がします。あの原作からだったら、それはそれで納得できるような空気感がつくられていたんじゃないかなとは思います。ちょっとキツかったですけど。

ところが後半、主人公たち二人が免許を取得してから先どうしていきたいのかが明確になっていくにつれ、いつの間にかストーリーが緊張感と切なさを帯びるようになり、「あと少しでこの環境から"巣立ち"をしなければならない」という現実が否応もなく突きつけられるので、その辺の盛り上げ方がすごく巧みでいいなと思いました。
強いて言えば、卒業試験後の最終の教習試験を二人が取り組む様子が入っていれば、より説得力があったんじゃないかなと思いますが、そこを入れなかったのは敢えてなのでしょうね。その後の別れのシーンもあっさりと済ませたのは好印象でしたし、オチも綺麗にまとめられていて、最終的にはそこそこ面白かったなと思えた作品でした。

そうそう「愛がなんだ」で好演していた岸井ゆきのさんがすごく可愛らしい女の子の役で出ています。牛丼をおごってあげたくなりました。
他の役者さんたちも概ね好演されていたんじゃないかなと思います。(主人公がキャラクターとして好きになれなかったというのはありますが)
映画を観た後に(観る前でもいいですが)原作を手に取ってみるのもいいのではないでしょうか。
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