こたつむり

アノマリサのこたつむりのレビュー・感想・評価

アノマリサ(2015年製作の映画)
3.4
♪ 僕の箱庭にキャンディしきつめて
  「これが君だよ」と優しく微笑みかける

「大人のためのアニメ」と書くと誤解を招く気がすると言うのもかなり人を選ぶ作品なので喩えるならば筒井康隆先生の中期作品みたいで要は実験的な描写と文学性とSFが混じって眩暈がしそうな感じだしコメディ寄りではないのも中期っぽいし少しでも嗤うことが出来ればブラックでシュールな仕上がりになって一般層にも訴求するのに大衆に迎合する気なんてゼロと思われる剛毅な筆致。

そもそも手間暇がかかるストップモーションアニメを選択した時点で気合が入っていて年配の男女のベッドシーンを一コマ一コマ作るのは狂気の沙汰としか思えず更にはリアルを追求するために色々と工夫していて思わず「あるある」と堺正章(マチャアキ)が出てきても不思議ではないくらいに膝を叩くレベルで現実と虚構をスクランブル交差点のようにグチャグチャ。

だから考察も捗る捗れラ行五段活用ネットの海をプカリプカリと泳いでみれば面白い考察がたくさん見つかる可能性もあるし中には背筋が寒くなる鋭い批評もあったりして僕は「すべては妄想だった」という説に一票投じたい投じらせろ冬至ラッセルしゃしゃしゃ。

勿論それは物語が難解ゆえに発生する事象であり人を選ぶ作品という惹起に繋がるけど桃太郎さん桃太郎さんお腰につけたきび団子一つ私にくださいなと作品で歌われたら人を選ぶのも致し方がないというかチャーリー・カウフマン先生は日本が好きなのか嫌いなのか半分なのか地球が何回廻った時に真実は分かるのか。

どちらにしろ考察を重ねても醜悪な物語であることは否めず良い気分になる人は1%にも満たない(僕調べ)ので鑑賞するかしないかは貴方の良識で判断すれば良い話だし良識なんて世の中には1%もない(僕調べ)という話もあるのでレジに並んでいる間に財布くらいは出しておけよ。

まあ、そんなわけで。
と書いたら大概は結論を書くのが常だけど今回は実験に実験を重ねた感想なので最後に前提(本作は精神的に追い詰められた男の物語だと思うけど本当なのかどうかを検証する)を書くという逆立ちした構成にしてみた所存というか誰も読んでいないでしょ最後まで。
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