GaPTooth

アノマリサのGaPToothのネタバレレビュー・内容・結末

アノマリサ(2015年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

幸せの概念は人それぞれ。
満ち溢れるほど豊かであっても、幸せだとは限らない。

家を構え、家族を持ち、仕事である程度の成功を納め、それを祝福してくれる友人に恵まれ、経済的な余裕もあり、人々からの尊敬すら勝ち取った中年男マイケル。

その社会的な立場と自らが築き上げた経歴からは、充実した人生を謳歌していてもおかしくはない要素しか見えない。
が、マイケルの顔色は終始暗く沈んでいる。

マイケルを苛立たせているのは、容赦なく洪水のように流れ込んでくるノイズ。
そして誰も彼もが同じ声に聞こえる事実。
電話越しの我が子の声さえ判別できないという悲劇。
自分以外は、1人の人間だという感覚。

絶望の淵で出会ったリサは、マイケルにひとときの希望とやすらぎをもたらしたが、恒久的な救いとはならなかった。

マイケルは嘆く「もう話せる人はいない」と。
そして自問自答「お前は誰だ」と。
辛うじて精神を繋ぎ止めているのは🍑桃太郎🍑を機械的な声で歌う芸者人形の存在か。

重くて暗い。リアルな人形によるストップモーションアニメじゃなかったら、もっと辛く感じただろうな。
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