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アノマリサのhzkのネタバレレビュー・内容・結末

アノマリサ(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ好きだった…
自分以外の他人の顔も声も全部同じに見える聞こえるオッさんの話。
ビジネス書の講演に出張でやってきたホテルでのシーンがほとんど。
コレ本当にストップモーション?
人形が意思を持って実際に動いてるんじゃないかってくらいリアル。
飛行機から降りてタクシーに乗って、ホテルに着いてトイレ入ってルームサービス頼んで廊下に氷を取りに行ったり電話を掛けたりするシーンをリアルタイムで映してる。
ただそれだけなのに魅入った。
会話劇も面白い。
これが人形じゃなくて普通の俳優だったらダレちゃったかもしれない。
ポルノショップのシーンは笑った。
「思ってた店と違ったようだ」
「オモチャ違いですね」
とか淡々とやるから余計可笑しい。
ほんで結局買ってんのかい!(笑)
日本の使われ方も笑っちゃった。

唯一他人と違う顔と声を持つ女性リサの吹き替えがジェニファージェイソンリーってのが良い…
声の重要性はよくわかる。
好きになる相手は声も好き。
むしろ耳に心地良い声じゃない人は好きにならないくらい。
美人な友達に引目を感じたり、辞書を引かなきゃ本を読めないことを気にするリサの心情も共感できる。
生々しく長いラブシーンからの朝、これがまたリアル。
急速に燃え上がったはずの恋なのに、相手のちょっとした癖が癪に触って違和感を覚えて、そのうち他とは違うから惹かれたはずの声まで、他人と同じに聞こえてきてしまう。

これは例えであるけど、同じように感じてる人はたくさんいるかもしれない。
みんな同じでつまんない。もっと刺激的な人と出会って自分を高めたい。
あれ、良いと思ったのにやっぱり違う。
誰でも一回は感じてるはず。私もそう。

とにかくリアルだった。
人形の動きも心情も。
タイトルの意味がすごく素敵。
エンドロールの曲もざわめきも哀愁があって余韻に浸れた。
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