140字プロレス鶴見辰吾ジラ

RE:BORNの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

RE:BORN(2015年製作の映画)
4.0
”エゴいアクション”

今作は”エゴい”アクション映画である。
ちまたでは、”エモい”という言葉をよく聞く。
クライマックスにクリアでパワフルな楽曲
主人公の握りこぶしや愛の告白や
それに準ずる景気の良い泣かせ演出によって彩る
そんな”エモい”展開で安い感動を売る世の中。

いやいや、邦画はそんな目先の感動に向かうなよ!
と思わせてくれる”エゴ”が今作にはある。

設定は中学生が大人の階段上る当たりで好むようなもので、「ゴースト」とか「アビス・ウォーカー」とか、口当たりが甘く切れ味のあるものばかりでワクワクする。それでは、単に少年と青年のブリッジ心をないし大人になりきれない童心中年に響くような設定なだけな映画でないのは、今作のアクションを見れば一目瞭然となる。最近ではキアヌ・リーヴス主演の「ジョン・ウィック」のようなアクションの格闘技的演武によるアクション映画が話題となったが、今作はそんなコンバットなアクションを”エゴく”要所で重ねて表現する。元軍人主人公と組織で育てられた少女と、仲間と・・・と紡いでいけばシュワルツェネッガー主演の「コマンドー」や西部劇式アメコミヒーロー映画「ローガン」、人気ゲームの「ヒットマン」を想起させ、その中でストーリーの中で尺をしっかりとって魅せるコンバットアクションを惜しみなく捧げることで、映画としての、そしてクリエイターとしての”熱量”を放出する”エゴいアクション”映画として、その必要性と存在感を発揮している。

役者陣の演技は特撮ヒーローモノのような大味をクールに抑制している、フォクショナライズしたものではあるが、その中に異彩を発揮する声優の大塚明夫の声優ならではの手法の闘い方はクスりとしながら目を見張る。

ラストカットも私の好きな、観客にその先と顛末を奥行を持って魅せる幕引きのため、童心に戻ったようなに大人の階段の中途半端なところまで、息抜きできた。そして何よりアクションへのリソースの景気の良さが、今作の物語的な熱量をブーストさせているのだから、一見の価値はあって然るべきであり、そして洋画へのコンプレックスを少しでも解消したい、少し早い寝苦しい夜には相性が良いのではないだろうか。