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火の山のマリアのひでGのレビュー・感想・評価

火の山のマリア(2015年製作の映画)
3.9
グアテマラ映画を初めて観る!

いろんな国の映画を観ることで、
全く行ったことない、行くこともできない国の人々の生活や人生を垣間見ることができる!

映画って、素敵だな〜!

観終わった後、改めて地図帳で、グアテマラの場所を確認した。

なるほどねー!

メキシコの南。
国土の大部分が山地、山脈

劇中、マリアをはじめ村の若者たちがアメリカについて話す内容。

「アメリカにはクルマがたくさん走ってるらしいぞ。」など、まるで月の世界を語るような感じ。

現実にそこに住むってイメージや知識はまるでない。夢のまた夢。
だって、アメリカにたどり着く前に、 
長い、ながーいメキシコを抜けないといけないのだから。

異国の作品を観る時、日本との比較ができるのが楽しい。

本作、火山の村に住むマリアたちの生活は外見は随分、日本と違うように見えるけど、

地主に搾取され、土地に縛られるだけの小作農、
親が決めた縁談など、戦前の日本の農家と同じだと思った。


だが、この作品は、後半、日本の戦前の農家やひょっとしたら今の日本や先進国の思考とは違う姿を見せてくれ、それが本作の骨になっていると感じた。

それは、いろいろ言うけど、いざとなったら、娘のために全力で行動する「闘う母」

決して耐え忍ぶだけでない、個人としての力強さをマリアの母から感じることができた。

そして、この作品の宝!

それは、今の私たちが忘れがちな、
「生命への畏敬」

後半、村全体である葬儀をするのだか、
そこには、マリアやマリアの家族や村の人々の、「生命への畏敬」を強く読み取ることができる。

ヘビを怖がり、火山に手を合わせ、死を悼む

私たちが忘れていることを静かに語ってくれている、

ラストのマリアの表情は、どのように読み取ったらいいのだろうか。

自分の思いと家族や村の現実のギャップ
自分の思いさえ、きちんとしたものなのだろうか、

前述したように、まだ夢や憧れをかたちにする以前の立ち位置なのかもしれない。

いろんなことを考えさせてくれる秀作だ!
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