ゴリアテの憂鬱

光りの墓のゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

光りの墓(2015年製作の映画)
4.2
KYOTOGRAPHIEをレンタサイクルで一日中回った後、出町座の座席に腰をおろし、心地良い疲労感とホッと一息ついた安堵感を感じながら本作を鑑賞しました。

そんな自分の疲れた心と身体を、不思議なヒーリング効果で優しく包み込んでくれる作品でした。

作中の謎の眠り病を患って病室で静かに眠る患者たちのように、自分も意識が覚醒と半覚醒を行き来しているような不思議な体験をしました。

タイを舞台にした映像はとても美しくて心地良く、画面から大量のマイナスイオンを浴びているようでした。

スピリチュアルやファンタジーの要素はあまり得意ではないのですが、それらの要素を複雑に取り込むのではなく、床に落ちた水滴が融合しやがて小さな水たまりになっていくような優れた芸術性で昇華しているところに、アピチャッポン監督の非凡さを感じました。

鑑賞後は、京阪電車に乗り込みJonny Nash& Ana Stampの『There up, Behind the Moon』を聴きながら、映画の優しい余韻に包まれて帰宅しました。
仕事帰りの人達で少し混み合ってくる車内でしたが、それもとても心地良い時間に感じました。

映画館で観れて良かったです。