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光りの墓のritsukoのレビュー・感想・評価

光りの墓(2015年製作の映画)
3.9
数年前、ナルコレプシーのひとと出逢い、そんなに唐突に眠ってしまうことなんてあるんだと疑問に思った。私たちは毎日「睡眠」を摂取する必要があり、それが当たり前だ。しかし眠る時間の長さが異常だったりタイミングが異なるだけで違和感を覚える。この映画では違和感を覚えた。因みにわたしは不眠症で、全然夜ひとりだと寝られない。なのに人が隣にいると自分でない自分のように爆睡してしまう。この映画をみて、自分でない自分ももしかしたら生きているかもしれないと思えた。日常での些細な疑問をスクリーンを通して照らし合わせることができて嬉しい。

ベンチがある場所でひとが立ったり座ったり、と思いきやすぐさま移動して…の繰り返しは、例えば電車の中やデパート内にあるベンチなど日常でもよくみること。そのシーンの早送りのようにもみえた。将又ファッションショーの一部のような。インスタレーションにもみえた。電車で、ガラガラに空いてるのに変に隣に座ってきて嫌だなと思って移動して、そしたら次の駅にまた誰か座ってくるの。もういいやってわたしは立ち上がる。そんな当たり前の日常のこと。
時々現れる戒めのようなフレーズたちに硬直する。15時くらいにベッドに横になり、ぼんやりとした曖昧な眠気がきて、意識がある頃にはシーンが切り替わっていたので目の筋肉の力を何回いれたかわからない。映画館じゃできない巻き戻しは便利。

亡くなったひとのことと生きている私たちは確かに繋がっており、完全に仕分けることはできない。お墓参りに行っている私たちはいつの間にか、もしかしたらエネルギーを吸われているのかもしれないな。
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