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ふきげんな過去のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

ふきげんな過去(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

退屈を持て余しいつも不機嫌そうな高校生・果子の前に、行方知れずとなっていた叔母の未来子が現れる。叔母はかつて自作の爆弾を暴力団事務所に投げ込むなどの問題行動を起こし、18年前に失踪し、戸籍上も死者扱いとなっていた。彼女は自分が果子の実母だと告白するのだが…という話。

同監督作の「ジ エキストリームスキヤキ」が好きだったこともあり、鑑賞。小泉今日子と二階堂ふみのダブル主演作。
演劇畑出身の監督特有の、舞台の芝居っぽい台詞回しが特徴的ではあるが、極端に演劇演劇した感じは余りなく、ややクセは強いものの自然な日常会話の連続で物語を引っ張るタイプの作品。セリフが多い割に、小説で言うところの行間を読ませる部分や観客の解釈に委ねる演出も多く、ストーリーも敢えて曖昧にしている部分もあるので、評価が分かれそう。ただ、登場人物が魅力的で作品の空気感が心地よいので、観ていて退屈はしなかった。
終始仏頂面で日常に飽き飽きしているヒロインと、かつて同じ境遇だったであろう母親の関係性が興味深く、また、ヒロインの従妹も子どもらしくない冷めた目で世界を見ており、世代の違う似たような人間性の登場人物たちの描き方がとてもユニークだった。無駄に情報量多いのに内容は無く、しかし様々なモチーフが含まれている会話劇がちゃんと計算された作りになっていて、感心させられた。単なるたとえ話かと思っていたワニのエピソードが最後に活きてくるのには驚かされた。
主演の二階堂ふみは最近妖艶な役柄が多すぎて、高校生役は厳しい気もするが、本作では捻くれてはいるものの自然に女子高生役を好演していた。小泉今日子のぶっ飛んだ役柄も個性的だった。従妹の子役は同じく二階堂ふみ主演の「私の男」で二階堂ふみの幼少期を演じていたらしい。
一応コメディタッチで、軽快なテンポな作品なのに、劇中の誘拐事件や失踪事件がやたらと闇が深そうなのも印象的だった。
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