20分ほどで気分が悪くなった。
いらいらする。腹立たしい。
神経を逆撫でする。
なんだ、こいつらは?
観るのをやめようかと思った。
しかし、待てよ。
思い出した。
岩井俊二は観客の気持ちの隙間にスルリと入りこんで心を騒つかせる。
人の感情は予定調和なものではない。怒り、泣き、喜び、そして跳ねる。
主人公の行動は不可解に映る。
けれど、感情というのはそもそも不可解なものであるのだ。
人にはそれぞれの生き方がある。
良きも悪しきも。
安室(綾野剛)は悪魔か、はたまた天使か。安室の存在に、私のいらいらや腹立たしさも次第に消えていった。
岩井俊二ワールド健在。