さききち

リップヴァンウィンクルの花嫁のさききちのレビュー・感想・評価

4.0
家族のかたち。信頼の深さ。

4時間版、serial editionで観た。
おとぎ話-犬猫魚- と 突き刺さる毒のような現実-サソリクラゲ毒カエル-。辛くも希望に満ちたこの世界。
孤独 絶縁 軽蔑 拒絶 無心 無関心が溶け合う社会の中
で、息吹く体温 尊重 受容 抱擁 主体性。
七海(黒木華)のもとに現れる安室(綾野剛)は、『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造のよう。良くも悪くも世界を回転。

主体的に生きねば埋もれてしまうこの世の中。不幸でもないが幸福でもない。エキストラ化した人生。

そして生きていても、無縁化したこの世界。エキストラ化した繋がり。形骸化した血縁関係よりも心に血が通った他人を。

如何様にも生きていける時代。血肉のない骨だけの孤独な生き物にもなりうる時代。そんな今に、今の時代だからこその「繋がり」の体温や可能性、そして「自分の頭で、足で」生きていくことを時に厳しくも柔らかく描いた作品。

黒木華さんが全編通して透き通る美しさ。
次は映画版を観直そうかな。
さききち

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