ellie

リップヴァンウィンクルの花嫁のellieのレビュー・感想・評価

3.9
リップヴァンウィンクルってなに?と調べたら、アメリカの短編小説の主人公の名前だそうで、時代遅れの人、眠ってばかりいる人、という意味なんだそう。
さすがは監督…と思いかけたら実は監督がそれを知ったのは撮影後で、本人は近所のお店の名前に同じのがあったから使っただけと聞いた。なのに内容が微妙にリンクしてて、シンクロニシティでは?逆に凄い逸話だ。

タイトルも長いけど映画も長い。長くて綺麗で毒があってお洒落。
さすがの綾野剛、安室の全く掴めないキャラクターをこれでもかと怪演。彼に翻弄されてどこに行くんだかわからないまま、観ているこちらも思わず七海の視点になって都会の海で溺れそうになりつつ危うげに進む。結局ストーリーテラーは安室かなと思いきやラストのりりぃさん(りりぃさん!涙涙)が全部持っていってしまい、まさかの展開に仰天して泣いてしまった。

正直、少々冗漫で退屈なシーンを混ぜこみながら、最後こういう風に話を転がしてがらりと風景を変えてしまうところ、やっぱり岩井作品だなあ、怖いなあ、としみじみ思う。
あと、真白にCoccoを起用するところも、真白って名前にしてしまうところも、ウェディングドレスのシーンも、流されてどこまでもいきながら大切なものを決して失わない、黒木華という女優の気品ある横顔も、最後のアパートの朝の光も。みんな好き。
ellie

ellie