やんげき

リップヴァンウィンクルの花嫁のやんげきのレビュー・感想・評価

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唯一無二な岩井ワールド。
しかし、断片的なシーンの連なりという感じで、ストーリーとしてはとてもモヤっとする。
だけど、ファンタジーとフェチズムとディテールの美しさによって夢見心地を味わえる不思議な映画。

あえて一連の意味を持たせなかったのか、バラバラに繋ぎ合わせれば良いところに落とせるのか、はたまた結局足りないのか、過分なのか、真実は作中に出てくる屋敷のように片付かぬままだ。

とにかく黒木華を美しく撮ってやるぜ映画で、ウェディングドラスに喪服に、浴衣に、メイド服と着せまくって、最高のカット撮りまくって監督って良い仕事なんだなぁとしみじみ思った。

女同士の友情とも愛情ともつかないパワフルだけど刹那的な関係が素晴らしい。印象的なシーンは全部、七海と真白のツーショットだった。カラオケでの惹かれあう友情ちょい超え×酔ってる位の温度感が最高。(なぜかバーテンの男が横で立ってて、拍手までしてる野暮演出も絶妙だった)

キャラクターは三者三様だけど、見ていて首をひねりたくなる寓話性がそれぞれ垣間見える。
キャラクターを通じてではなく、瞬間や情感のレイヤーが関係性を作っていくような作品で、岩井俊二しか作れない空気感と構成だ。

coccoがAV女優役は別に脱ぐわけでも、喘ぐわけでもないし、現実感もあんまりなかったのだけど、とりまきが本気のAV女優揃えていたのが謎の本格志向で思わず笑ってしまった。
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