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アラビアン・ナイト 第1部 休息のない人々のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.0
【映画/批評月間 ~フランス映画の現在をめぐって『シェヘラザード』公開記念:ミゲル・ゴメスが語る千夜一夜物語】
妻の不倫をきっかけに女性不信に陥り、首はね人として恐れられた王シャフリヤールの元に現れたシェヘラザードが延命する為に、毎晩面白い小話をする民話集『千夜一夜物語』。我々は21世紀になり、太鼓昔の物語を楽しむ。21世紀、口承から紙に変わり、映像というメディアが生まれた今、30世紀、40世紀に届けられる民話は何か?ミゲル・ゴメスは民話が当時の生活を知る考古学的側面に目をつけ、ドキュメンタリーとフィクションの境目を曖昧にした民話集を創り上げた。『私たちの好きな八月』の時に創り上げた民話性を遂に、『千夜一夜物語』と重ね合わせることで永遠に続く物語へと昇華させたように見えます。

ポルトガルの銀行家や政治家の前に『千夜一夜物語』のコスプレをしたような男が現れ説教をするという、古代と現代のマリアージュから権力による暴力を声高らかに叫ぶ。かと思うと、鯨の体が海岸で大爆発したり、執拗なテロップにより実験したり、遊び心に満ち溢れている。英語力のなさ、ポルトガル現代史に対する知識のなさから、正直よくわからない話も多いのだが、ミゲル・ゴメスが21世紀の『千夜一夜物語』って何だろう?『千夜一夜物語』を通じて、ポルトガル社会に問題提起できないだろうかという意志を感じさせる作品でした。噂によると第2部が面白いとのことで楽しみだ。
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