ryosuke

水槽と国民のryosukeのレビュー・感想・評価

水槽と国民(2015年製作の映画)
3.6
水槽を固定カメラ長回しで捉えるカットから始まる。美しいカットだが、とにかく長いので正直楽しめはしなかった。何せ長いので画の細部まで見ることになり、普段の映画鑑賞では映像の一部分しか見られていないことを実感する。また、音楽がかかると途端に見やすくなることから、無音への耐性が弱まっていることも改めて認識させられた。
カメラが水槽に映りこんでしまっている点などは、シネマ・ヴェリテ的。
朗読パートでは純粋に編集のための、休憩のためのジャンプカットが行われる。ぶつ切りの編集のたびに光の具合が一気に変わることに驚く。我々は自然光の変化を連続的には捉えられないということを実感する。突然撮影側が話しかけるのも、これまたシネマ・ヴェリテ的。

併映
「レナートに」 3.0
「オトン」からの引用(手持ちカメラ長回しの部分)と写真、ナレーションで構成される。彼らの撮影現場が和気あいあいとしたものであったことが分かる。
「目下の進捗状況は?ジャン=マリー・ストローブ」 3.2
猫がいると画がもつ。
ジャンプカットで唐突に現れる人や猫が面白い。画の中の絶妙の場所に現れる窓の外の船を見ていると考え抜かれた構図であることが分かる。
撮影者側がカメラの話題を出すのは、やはりシネマ・ヴェリテ的。
ryosuke

ryosuke