シズヲ

戦国自衛隊のシズヲのネタバレレビュー・内容・結末

戦国自衛隊(1979年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

異形の映画を観たなぁ、という気分。戦国武将と自衛隊が並んでいる絵面だけでも強烈。時折顔を出す青春物めいたムード、補給や消費について殆ど触れられない等勢いに任せた展開と描写、戦国時代が舞台なのに高頻度で挟まれるロック・ブルース系のBGMといった要素が更に異様な雰囲気を形成している。ちらほらモラルが怪しい自衛隊員にも当時の邦画のナチュラルな猥雑さを感じる。ラストの千葉真一や離反する渡瀬恒彦チームは完全アウトだが、他も駆け落ちを考えてたりノリノリで夜這に参加したりする。

それでも役者の気迫や理不尽な無情さは秀逸だし、武田軍が集団戦法で自衛隊を追い詰めていく終盤の合戦は凄まじい。乱世を生きる侍と現代を生きる自衛隊が実に対照的に描かれていて、だからこそ伊庭が本格的に『乱世の人間』となってしまったのが際立つ。伊庭が友情を結んだ長尾影虎に討たれ、丁重に葬られるラストは虚しくも印象的。ただ伊庭以外の隊員は伊庭の狂気の道連れを食らった感が強く、妙に後味が悪い。

原作は架空戦記としてのシミュレーション的な要素や歴史に関わる数奇な運命もあるらしいけど、本作はとにかく粗削りで外連味重視の印象。しかし自衛隊員の必死さはとにかく迫真だし、極限状況における絶望感の書き方も凄い。傑作と呼ぶにはとっちらかってるけど、暑苦しい程にギラついている。
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