Akiyoshi

ジュラシック・ワールド 炎の王国のAkiyoshiのレビュー・感想・評価

4.6
大きくなった世界観を小さくして、再び大きくする。完璧なる風呂敷使いが光る新ジュラシック三部作の二作目。

ダークながらも迫力のあるオープニング。前作でも劇場を盛り上げた「あの恐竜」とお馴染みのアイツが現れ、恐竜の恐ろしさが甦る。初っ端から迫力のある映像にアドレナリンが暴発すると共に、「飛ばし過ぎじゃ、、?」という心配まで懸念される冒頭の贅沢さから全ては始まった。

とても野性味に溢れるディストピア空間が広がる崩壊したジュラシックワールドを駆ける前半。暗い雰囲気とまではいかないが、前作の明るさと比べると少し重みが増しているように感じる。二作目になるし、多少シリアス展開になる方が物語に厚みが出たりもする。その厚みになるのが人間のエゴだったり、飼い主とペットへの関係にも言及する人が生み出した恐竜のポジション・立ち位置であった。崩壊したジュラシックワールドには火山噴火の危機が訪れ、どうしようもない状態。自然の猛威と荒ぶる多種多様な恐竜の映像からはロマンがあり、楽しい。火山も恐竜も勇ましく実に怖い。予告編ではこの前半しか映していないだけのインパクトはあった。

小さな空間で繰り広げられるジュラシック・ホラーな後半。人の欲望を自然が警告するように暴れる恐竜があっぱれ。恐竜からのハラハラドキドキ逃走劇は緊迫感があるし、普通に怖い。人は今までどのように自然と向き合って来たのかを思い知らせる結末へ向かう。相変わらず興奮の連続なジュラシック体験であるが、絵面のダークさとキーとなる自然の摂理が交わって良いバランスが取れたと感じる出来栄えだった。既視感が〜、とかマンネリが〜、とかが感想にて多く上がるシリーズやリメイク作品の中で、アイディアを振り絞って斬新さを求めるのではなく、ジュラシックシリーズの本質である3点「人類への警鐘」「自然の摂理」「恐竜の恐ろしさ」を全面に出し尽くし燃え尽きた作品となった。さらに次回作への期待が高まるラストの流れは個人的にかなり好みであった。

超楽しかった。
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