NAO141

ジュラシック・ワールド 炎の王国のNAO141のレビュー・感想・評価

3.8
一度よみがえらせた恐竜は元に戻せない

今作はこれまで以上にサスペンス色が強い感じがした。今作には遺伝子操作によって新種の恐竜を作ろうとする企業が複数登場する。それもこれまでのような娯楽目的ではなく、戦争に恐竜を利用する試みまでが描かれる。
内容が内容なだけに、これまでよりもやや暗い雰囲気の作品になっている気もする。考えてみれば、バヨナ監督といえば「永遠のこどもたち」などサスペンスホラーで高い評価を得ている人物だから、今作がそういった雰囲気の作品になるのも納得(前作のトレボロウ監督は今作では脚本を担当)。

今作ではオリジナル作「ジュラシック・パーク」で重要な役割を果たしたイアン・マルコム博士が再登場する。
恐竜をよみがえらせてテーマパークを造るなど自然の摂理に反する愚かな行為だと主張してきたマルコム博士は、今作でも恐竜を火山から避難させる案に反対する(火山噴火時の首長竜のシーンは切ない…)。
今作は原作者マイケル・クライトンの作風に最も忠実な作品かもしれない。
「大昔に犯した間違いを今さらなかったことには出来ない」というクライトンのオリジナルアイデアがこれまでにも増して実感出来る作品である。

物語ラスト、これまでテーマパークや檻の中にいた恐竜たちは私たち人間が生活する領域にまで進出してきてしまう。
その先に待っているのは共存か、どちらかの破滅(滅亡)か。
次回作がどういった展開になるか楽しみである。
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